オフィス備品の勘定科目は消耗品費?備品費?知っておきたい仕訳のいろは

オフィス備品の勘定科目は消耗品費?備品費?知っておきたい仕訳のいろは
オフィス備品の勘定科目は消耗品費?備品費?知っておきたい仕訳のいろは
2021.02.24(更新日 2023.03.31)

勘定科目(かんじょうかもく)は、経理担当者が押さえておくべき知識の一つ。一般的に広く知られる勘定科目を使用することが多いですが、厳密なルールが法律で定められているわけではなく、備品は何費として処理すればよいか使い分けに悩む経理担当者も少なくありません。

とくにオフィス備品の勘定科目は消耗品費に該当するのか、備品として資産処理するのかがわかりにくいため、ある程度の基準を押さえておくことが大切です。

そこで今回は、勘定科目の基礎知識についてご紹介します。

勘定科目(かんじょうかもく)とは

勘定科目とは、社内の取引を帳簿に記入する際に使用する分類項目です。例えば、商品を仕入れたら「仕入れ」、電話代や郵便代、インターネット代の支払いなら「通信費」というように、適切な勘定科目に仕訳を行い、帳簿に記入します。

勘定科目を使い分ければ、何にいくら使ったのかをひと目で確認しやすくなるので、経費の見直しを行う際にも役立ちます。

なお、勘定科目の数は多いですが、頻繁に使用するものはある程度決まっています。ただ、オフィス備品に関しては使用する勘定科目に悩みがちです。法律で厳密に決められているわけではないですが、ある程度の基準が国税庁から発表されているため、それらを踏まえたうえで自社の経理ルールを定め、適切な項目に振り分けましょう。

備品の勘定科目

オフィス備品の費用は、どの勘定科目で処理するとよいのでしょうか。備品購入時に使用する勘定科目は、「消耗品費」「備品費・備品(資産)」です。

どの勘定科目を使うかは、企業の形態や購入費用によって以下のように異なります。

中小企業、個人事業主
・10万円未満…………………消耗品費
・10万円以上30万円未満……備品費
・30万円以上…………………備品

大企業
・10万円未満…………………消耗品費
・10万円以上20万円未満……備品費(※)
・20万円以上…………………備品
※20万円未満の固定資産は、一括償却資産として使用年度から3年間の均等償却が可能

なお、建物や車以外の資産を購入した場合、その多くは備品に該当します。

消耗品費と備品は分ける必要がある

経費処理を行う際、「消耗品費」と「備品」は混同しがちです。100円のペンは消耗品費、100万円のオフィス機器は備品、と明らかに金額が異なる場合は仕訳もしやすいでしょう。

しかし、これが10万円のパソコンならどうでしょうか。消耗品にも備品にも該当するように思えるため、どちらで処理をすればいいのか迷ってしまうのも仕方がありません。

消耗品費と備品は費用化される時期が異なり、前者は購入時、後者は固定資産のため減価償却を行い費用化します。どちらの勘定科目で経費処理を行ったかによって当期の損益が変わるため、以下の判断基準をもとに消耗品費と備品の仕訳を行いましょう。

消耗品費

国税庁によると、以下の2つに該当するものは消耗品費として処理が可能です。

①耐用年数(使用可能期間)が1年未満、または取得価額(物品等を購入した際の額で手数料等も含まれる)が10万円未満の什器(じゅうき)備品の購入費  
②文房具や帳簿、用紙、包装紙、社用車のガソリン代などの消耗品の購入費

参考:国税庁「確定申告書等作成コーナーよくある質問 消耗品費

ここで知っておきたいのが、「必ずしも消耗品費として処理する必要はない」ということです。会社は損益を考えて当期の費用を振り分けますが、大きくズレがないなら事務用品費、雑費として処理しても問題はありません。

また上記の基準で考えた場合、10万円未満のパソコンは消耗品費にあたりますが、10万円未満の判定を税込・税抜にするのかは気になるところでしょう。これは会社の経理方法に左右されるため、税込経理なら税込10万円未満、税抜経理なら税抜10万円未満と判断すれば大丈夫です。

仮に、パソコンとパソコンの付属品が別売の場合は合計額で10万円未満となります。これは、付属品がなければパソコンが作動しない=パソコンの一部だと考えるためです。プリンターのように、なくてもパソコンの作動に支障がないものは別物として扱うため、それぞれで経費処理を行ってください。

なお、上記10万円未満という規定はすべての企業に適用されますが、中小企業に関しては30万円未満の什器備品も消耗品費として経費処理が可能です。

備品

備品は、上記の消耗品費の基準に該当しないもの。固定資産の勘定科目にあたり、オフィス備品以外にも、建物や建物に付属している設備、車両運搬具なども固定資産に該当します。

上記でも触れましたが、固定資産である備品は一定の資産を耐用年数に渡って費用として計上(減価償却)するため、経費処理の際は仕訳だけでなく、一つひとつの備品を固定資産台帳を使って管理しなくてはなりません。消耗品費とは扱いが異なるため、覚えておきましょう。

消耗品費と事務用品費の違いと使い分け

先ほどもお伝えしたように、消耗品費は「取得価額が10万円未満、または耐用年数が1年未満のもの」を購入した際に使用する勘定科目です。これと同様の勘定科目に「事務用品費」がありますが、項目が近いからこそ違いや使い分けに悩むというケースもあるでしょう。

以下、消耗品費と事務用品費の違いや、使い分けの方法についてご紹介します。

消耗品費

消耗品費に該当するのは、日用品や文房具のように「消耗してなくなってしまうもの」です。広い範囲で見るとほとんどのものが消耗品に該当するため、さまざまな費用が混在してしまう可能性もゼロではありません。

できるだけ項目を細かく分けて管理したいという企業は、消耗品勘定の内訳として補助科目を設定するのもよいでしょう。

事務用品費

事務用品費に該当するのは、文房具やデスク周りの備品、オフィス備品などの「業務関連に限定されるもの」です。消耗品費に含むことも可能ですが、細かく管理したいなら事務用品費を補助科目に設定するのも一つの方法と言えるでしょう。

実務において、2つの勘定科目をどう使い分けるかに明確な決まりはないので、社内で独自の経理ルールを設定しても問題はありません。ただし、同取引については同じ勘定科目を使い、継続的に経理処理を行うよう徹底することが大切です。

なお、事務用品の購入が少ない場合、消耗品費としてまとめて処理を行うのもよいでしょう。勘定科目はできるだけシンプルにしたほうが混乱がないので、無理して科目を増やす必要はありません。

経理の目的は「正しい経営管理・経営判断を遂行するための材料集め」にほかなりません。勘定科目を細かく分けているから正しいわけではありませんし、勘定科目の仕訳そのものが目的になってしまっては意味がないのです。目的をきちんと定め、会社のためになるよう勘定科目を使い分けることが重要です。

社内ルールでオフィス備品の勘定科目を明確に

勘定科目を上手に使い分ければ、会社のお金の出入りを項目別に分けられます。基準・規程が似通ったものがあるためどちらに分類するか迷いがちですが、国税庁が定めたルールを確認した上で社内の経理ルールを構築すれば混乱は少なくなるはずです。

また、オフィス備品の購入時はどの勘定科目で経費処理を行うのかを考え、部署内での共有を徹底しましょう。法的な決まりがないとは言え、同じ取引の勘定科目が毎回異なるのは少々問題です。正しい経営判断の材料にするためにも、ルールを構築したうえできちんと管理することが望ましいと言えます。

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